たまげきブログ

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公演情報や稽古場ブログなど、法政大学多摩演劇研究会の活動を公開します!

僕や君や彼等のため、明日には笑えるように。

晦日にこんにちは。川上です。12/21に千秋楽を迎えました、2018年度多摩劇冬期本公演の劇団Re:member「私のレーヴ!」にて、主宰・脚本・演出を務めました。

川上自身、1年ぶり2回目の多摩劇ブログ大晦日更新です。

 

tamageki.hatenablog.com

 

公演準備中にブログ更新してくれたサッカー好きな小田部くん、ありがとうございました。去年の大晦日の記事は、昨年末の1年生公演の川上的なまとめみたいな感じでした。今回は、その去年と同じ「劇団Re:member」という名前で打った、今年の冬公演の川上的なまとめみたいな感じです。

主宰・脚本・演出、という役職の枠でまとめてみようかと思います。はじめに言っておきますが、長くなります。

 

 

まずは主宰。

主宰って、公演の発起人的な人をさすカッコ良さげな呼び方、みたいなところがあります。ので、公演期間中に主宰としてのやることって結構少ないです。ただ、その1つ1つのやることが、公演の方針を決める大きな決断ばかりだったりします。過去に川上が座組員の立場から見てた主宰は、「自分が表現したいものがある。その自分の表現したいことにみんなを協力させる。失敗したって、その全ての責任は自分が取る。だからみんな、自分についてきてほしい。」みたいなポジションを取る人が多かったですかね。今回の川上は、「今まで見てきた主宰とは違う、独特な立場をとろう」みたいなことは特に考えてなかったので、座組員から見た主宰川上も例に漏れずそんかカッコ良さげなイメージだったんですかね。多分。分からんけど。

本公演ではないですが、1年生公演で主宰を去年経験していたこともあり、事前に不安もありませんでしたし、主宰という立場に関しては、心の準備がよくできていたと思ってます。そして、何よりも自分についてきてくれた座組員には感謝の思いでいっぱいです。ありがとうございました。

 

 

次に脚本。

初めての経験でした。思っていたよりも簡単な部分もありましたし、難しい部分もやっぱりありました。

表現したいものやことは、川上の中にたくさんあったので、第1稿は思っていたよりも早く出来上がりました。しかし、通して読んでみると「なんかまだ面白くなる部分ある気がする」という感想なんですよね。その時が1番苦しかったと思います。しかし、その書いた本人はその時それが最高だと思ってるので、直す部分が分からない。自分で悶々としてても仕方ないと思い、舞台監督さんに台本を読ませてみました。そしたら簡単な感想が送られてくるわけですけども。その中に目から鱗なものが色々あったんですよね。ああ、こんなことにも気付けてなかったのか、て。

それに気づいてからというもの、色んな人に台本を読ませて感想をもらって書き直して、という作業を繰り返しました。経験ある人からしたら、当たり前だろ、て思われると思います。が、初めての経験過ぎて、誰にどう聞くのがいいのか、みたいなことですら迷ってしまったんです。人からの感想や意見というものは、こんなにも僕に新しい景色を見せてくれるのか、と感動したことを覚えています。その時、忙しかったにもかかわらず目を通していただき感想や意見を言ってくれた方々に感謝しています。

 

 

最後に演出。

難しい!ただただ難しい!思っていたよりも難しい、とかそういうレベルではない!昨年の1年生公演では別の人に演出を任せたのですが改めて「本当によくやりきってくれたなぁ、ありがたいなぁ。」と思いました。

演出のお仕事は、稽古で役者たちの演技見てなんか小言とかたくさんいう人、です。その小言1つ1つが役者にとって大きなものとなるので責任持って言葉を発するわけですが。うーん、難しい。演出についてこの多摩劇ブログで書く、という行為も難しいですよね。なんせ、人には人の考えがあるわけですが、殊、演出に関しては、本当に、千差万別です。みんなちがって、みんないい、です。川上個人の考えとして受け取っていただけると幸いです。

 

特に難しかったことは、「正解」を掲示し続けること、です。この「正解」というのは、台本の日本語の解釈、みたいな絶対的に正解のものでなく「こういうものやことを表現するのにたくさん表現の仕方があるけど、その中でこれがいいよね」ていう役者の表現方法の「正解」です。

役者それぞれの演技の組み立て方とか演劇に対しての考え方は、まあどうでもいいんですが、最終的に出てくる表現が、演劇を観に来てくださった方々に対して表現したいもの、とズレてしまってはいけません。逆に言えば、そこのピントさえ合ってくれれば万々歳なわけです。ただ、役者個人個人、シーン別々で、その役者の表現方法がズレると、伝わる表現も弱くなります。

なんか小難しくなったので小田部くんが好きなサッカーに例えると、ゴールしてくれれば(=正しい表現がお客さんに伝われば)万々歳です。しかし、シュートを放つ行為(=表現)を行う主体であるストライカーの身体のパーツそれぞれ(=役者個人の表現方法やそれぞれのシーン)がしっかりと正しいフォーム(=表現方法の「正解」)になぞらえてシュートを放たないと、シュートは弱くなります。弱いシュートでもゴールはゴールですが、どうせならゴールネット(=観に来てくださった方々の心)は強く揺らしたい、と思うのです(正しく伝わったかは分かりませんが、これが僕の言語力の限界なので、理解したい人は読み直してください)。

厄介なのがこの「正しいフォーム」というやつです。毎日違う稽古場ですし、小屋入りするまでは、本番を行うその場所での稽古はほとんどできません。役者個人個人の体調やメンタルだって日によって変わります。その中で、1つの「正解」を目指し続けることが本番の日に強くシュートを放つ可能性を上げるのです。しかし、どんな「正解」が一番確率が上がるのか、それは演出初経験の川上にはさっぱり分かりません。

ということで、今回の公演ではとりあえず最初は、川上の「好きな表現方法」を突き詰めることにしました。そうしたら稽古をしていくうちに、これは本番の大きなホールでは伝わらないかも、と思い、変更しました。キャラクターの気持ちの変化が正しく伝わらないかも、と思い、変更しました。たくさんの変更を重ねました。この1つ1つの変更で役者には多大な負荷がかかります。川上自身、役者を経験してるのでよく分かります。しかし、それを案じて、こちらがその時思う最高の「正解」を示さない、というのが、一番役者に失礼だと思いました。綺麗に言えば、役者を信じて、この役者なら応えてくれると信じて色々言いました。もっと言ってしまうと、役者だけでなく、裏方の方々にもたくさん言いました。それに最後まで食らいついてくれて見事に応えてくれた役者陣、そして座組員には、心からの感謝の言葉を贈ります。ありがとう。

 

 

演劇は、1人ではできません。協力して下さる方々がいなければネット小説サイトの片隅に独り言のように書かれた第1稿がネットのゴミとなって存在していただけだったでしょう。劇団Re:memberの座組員、もっと言うと、多摩演劇研究会のサークル員、そして、その他の面でも川上をサポートしてくれた大切な人たち。川上の周りの素敵な人たちへの恩返しの気持ちを持って、生きていこうと思います。皆様が居ることが僕の人生の誇りです。

 

 

 

最後になりましたが、劇団Re:member「私のレーヴ!」にお越し下さった方々、ありがとうございました。冬公演は終わりましたが、もちろん多摩劇はこれからも続いていきます。

川上は多摩劇会長として、元橋次期副会長と、多摩劇員みんなで素敵な公演を作り続けていきます。今年観てくださった方々も、それより前から観てくださってる方々も、今年は残念ながら来れなかったという方々にも、未だ演劇を観たことないという方々にも、多摩劇が作る演劇が皆様の心に届く日を待ち遠しく思っています。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。暮も押し迫って参りました。皆さまにおかれましては、どうぞよいお年をお迎えください。

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私たちの演劇がみんなに届きますように――